新型コロナの検査、無症状でもウイルス量は同じ? 検査は鼻or喉? 【論文紹介】
- 2020.02.29
- 医療・医学ニュース

日本でも流行が拡大し、様々なイベントが中止に追い込まれている新型コロナウイルス感染症。PCR検査の対象やPCRの検出感度が話題になっていますが、検査を行うにあたってサンプルを採取する必要があります。下気道にウイルス量が多いことが知られていますので、なるべく喀痰などの下気道由来のサンプルが望ましいとされていますが、痰が出ない方や採取が難しい方では鼻や喉から採取した上気道由来のサンプルを使用することになっています。鼻や喉からの検体採取は非常に手軽でやりやすいですね。でも、できるだけしっかり検査したい。検査するなら鼻と喉、どっちがよいのでしょうか?
今回紹介するのは、鼻と喉のどちらからウイルスが検出されやすいのか調べた研究です。中国・広東省疾病管理予防センターのLirong Zou氏らは、中国・広東省珠海市で新型コロナウイルス陽性と確認された新型コロナウイルスの患者18例について、鼻と喉から採取したサンプルを調べ比較しました。無症状であった1例を除く17例の鼻腔スワブ72本と咽頭スワブ72本から検体を採取し、発症日とウイルス量の相関を連続的にモニタリングしています。
患者の年齢中央値は59歳、男女9例ずつで、4例は2つの家族内における二次感染の症例でした。最初に発症した14例は1月7-26日までに発熱を認め、新型コロナウイルスと診断されています。このうち13例はCTで肺炎の所見が認められました。その後3例はICUでの集中治療を必要としています。他はいずれも中程度〜軽度の症状でした。1例は臨床症状を認めませんでしたが、発症者との接触の後7,10,11日後に採取された鼻・喉由来の検体で、新型コロナウイルス陽性の反応が確認されました。

発症者17例については、発症直後に高いウイルス量が検出されました。鼻と喉でウイルスの検出量については、咽頭よりも鼻腔においてより多くのウイルスが検出されていることがわかりました。
また、無症状の症例から検出されたウイルス量は鼻腔スワブ(cycle threshold[Ct]:22~28)および咽頭スワブ(Ct:30~32)であったということがわかりました。つまり、無症候者から検出されたウイルス量は、極端に少ないわけではなく発症者のウイルス量と同程度であり、無症候者やごく軽症者からの感染が生じる可能性があることを示唆しています。
なお、ウイルスの広がり方は、ゲノム配列が類似しているSARSよりも、インフルエンザに近いということがわかりました。
鼻と喉、スワブで検査するなら鼻から採取したほうが良さそうですね。無症状の方のデータが1例だけなので、採取手技による誤差も考慮するともう少しデータが欲しい気もしますが、無症状の方でもある程度のウイルス量があるだろうという可能性が示唆されました。元論文には症例ごとのウイルス量のグラフが載っていますので参考にしてみてください。また続報がでるかもしれないので、アップデートを待ちましょう。
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