新型コロナウイルス、中国での治療指針はどうなっているのか

新型コロナウイルス、中国での治療指針はどうなっているのか

国内でも感染が日々拡大している新型コロナウイルス。新しい研究論文も日々アップデートされていますが、中国での治療ガイドラインはどうなっているのでしょうか。中国国家衛生健康委員会総局が2月18日に発出した診療指針試行最新版(新型冠状病毒肺炎診療方案 試行第六版)の内容の一部を、下記に要約してみました。

※原文(中国語)を訳して、わかりやすい日本語に置き換えて記載しております。誤訳があった場合は修正します。
※下記文章は中国での治療方針であり日本とは異なる場合があります。
※漢方についての記載が豊富でしたが以下には記載しておりません。原文をご参照ください。

ウイルスに対する消毒

紫外線と熱に敏感。加熱滅菌、75%エタノール、塩素含有消毒剤、過酢酸、エーテル、クロロホルムによって効果的に不活化できます。クロルヘキシジンは効果的に不活化できません。

疫学の特徴

・コロナウイルス感染症患者によって感染が拡大。無症候性感染症も感染源となります。
・飛沫感染、接触感染が主な伝播経路です。高濃度のエアロゾルに長時間さらされる閉鎖空間では、エアロゾルによって伝播する可能性があります。
・群衆では感染リスクが高まります。

臨床症状の特徴

潜伏期間は1〜14日で、ほとんどが3〜7日
・主な症状は、発熱、咳、疲労。鼻詰まり、鼻水、のどの痛み、筋肉痛、下痢などの症状を示す患者もいます。
重篤な患者は、病気の発症から1週間後に呼吸困難や低酸素血症を経験することが多く、重症の場合、急性呼吸促迫症候群、敗血症性ショック、代謝性アシドーシスの修正が困難で、凝固機能障害、および多臓器に急速に進行することがあります。
・軽度の患者は発熱は軽度で、軽度の疲労感のみ生じ、肺炎は認められない。
・現在の症例から判断すると、ほとんどの患者は予後良好であり、重篤な患者は少数です。高齢者および慢性の基礎疾患を持つ人々の予後は不良です。小児の症状は比較的軽度です。

検査所見について

血液検査の所見
・発症の初期段階では、末梢血中の白血球の総数が正常または減少し、リンパ球数が減少
・一部の患者では、肝酵素、LDH、CK、ミオグロビンが増加
・重症例では、トロポニンが上昇する可能性あり
・ほとんどの患者でCRPや赤血球沈降速度が上昇。プロカルシトニンは正常
・重症例では、D-ダイマーが増加し、末梢血リンパ球が徐々に減少

コロナウイルスの検査
・鼻咽頭スワブ、その他の下気道分泌物、血液、および糞便から検出可能

胸部画像所見
・初期段階では複数の小さな斑状陰影、間質性の変化
・その後両側肺に複数のすりガラス陰影が発生、胸水は稀

重症度分類
【軽症】
臨床症状は軽度で画像検査で肺炎の所見が認められない。
【中等症】
発熱、気道症状およびその他の症状があり、画像検査で肺炎と診断できる。
【重症】
次のいずれかを満たす場合
・RR>30回/分の呼吸困難
・安静時SpO2が93%未満
・P/F比(動脈血酸素分圧=PaO2)/(酸素濃度=FiO2)が300mmHg未満
【最重症】
次のいずれかを満たす場合
・呼吸不全があり、人工呼吸器を要する
・ショック状態
・臓器障害を合併し、ICUでの管理および治療を要する

治療

・効果的な隔離・保護条件の整った指定病院で隔離の上で指定の部屋で治療を行う必要があります。
・重症例では早急にICUへ入院する必要があります。
・ベッド上安静、支持療法。水分補給及び電解質管理を行い、バイタルサインと酸素飽和度のモニタリングを行います。
・必要に応じて適宜血液検査、尿検査、胸部画像検査等を行います。
・適切な酸素投与を実施します。
・広域抗菌薬の盲目的・不適切な使用は避けます。

抗ウイルス療法
吸入インターフェロンα(500万相当量、1日2回吸入)
ロピナビル/リトナビル(200mg/50mg、1回2錠、1日2回)
リバビリン(インターフェロンまたはロピナビル/リトナビルとの併用を推奨、500mg/時、1日当たり2~3回の静脈内注入)
リン酸クロロキン(500 mg、1日2回)、
アルビドール(200mg、1日3回)

※ロピナビル/リトナビルの副作用として、下痢、悪心、嘔吐、肝臓障害などに注意。また、他の薬物との相互作用に注意。
※3つ以上の抗ウイルス薬を同時に使用することは推奨されません

重症例の治療
・原則は対症療法、合併症の予防、基礎疾患の治療、二次感染の予防、臓器補助
・呼吸器補助として、酸素投与、高流量鼻カニュラ酸素療法、非侵襲的人工換気、侵襲的機械的換気、体外式膜型人工肺など
・その他の治療として酸素化が非常に悪く、急速な画像所見の増悪を認める場合、また炎症反応の過剰な上昇が認められる場合は、必要に応じてグルココルチコイドの短期間投与(3-5日)を使用できますが、メチルプレドニゾロン換算で1-2mg/kg/日を超えない量とします。グルココルチコイドの大量投与は免疫抑制効果によるコロナウイルスの除去を遅延させる可能性があります。腸内バランスの維持や二次感染対策としての整腸剤の使用も検討。重症例では血漿交換等も考慮。

退院基準

以下を満たす場合
・3日以上解熱維持
・呼吸器症状の改善
・胸部画像上の改善
・1日以上の間隔を空けて2回連続採取した呼吸器検体でPCR陰性を確認

退院後の患者は免疫機能が低下しており、他の感染症に罹患するリスクがあるため、退院後14日間は健康状態に注意するよう指導します。マスクを着け、換気の良い個室で、家族との接触を減らし、食事は別々にとり、手指衛生を心がけ、外出を避けていただきます。
退院後の2,4週目にフォローの外来を受診していただきます。

以上です。今回発表されたガイドラインでは治療方法が非常に豊富となりました。中国本土では臨床試験も行われており、治療薬の効果についてはアップデートを待ちましょう。漢方については流石中国といったところで、非常に情報が豊富でした。興味がある方はぜひ原文を参照してみてください。

参考:新型冠状病毒肺炎診療方案 試行第六版