妊娠中の喫煙、生後1年間の骨折リスク増加

妊娠中の喫煙の影響は計り知れない。
喫煙自体、発がんリスクを含め自分自身への悪影響はすでによく知られていますが、妊娠中の喫煙ともなれば赤ちゃんへの悪影響も深刻です。
妊娠中の喫煙によって、胎児の発育遅延が生じたり、早産や流産、前置胎盤などのリスクも2-3倍に増加したりすることが知られています。また、母親が妊娠中に喫煙していた場合、1本も喫煙しなかった場合と比較して、乳幼児突然死のリスクが2倍以上増加することがわかりました。たとえ1日に1本しか吸っていなかったとしてもリスクは1.98倍になり、さらに20本/日までは本数が増えるに従ってリスクは直線的に増加していく、という研究結果があり、過去に記事で紹介させていただきました。
さて、今回はさらなる続報で、妊娠中の喫煙と赤ちゃんの骨折のリスクについての報告を紹介します。
イギリスとスウェーデンのグループによる研究報告です。妊娠初期に喫煙していた女性と喫煙していなかった女性の子供を合計なんと168万307人(!)を対象に、子供の骨折リスクを検討しました。最大32歳まで骨折の有無を追跡し、家族という観点で生じる交絡も統計学的に処理しています。
その結果、母親の喫煙は生後1年までの骨折率上昇と関連することがわかりました。また、生後1年までの間は、タバコの本数に比例する形で骨折率が上昇することがわかりました。
今回の研究は解析対象が168万人以上と非常に多いこともちろんのこと、家族に関連する因子まで含めて検討し、さらに時間的に、いつまでリスクが生じるのかということが検討された研究でした。
妊娠中の喫煙は明らかに赤ちゃんに悪そうな印象がありますが、骨折リスクについては生後1年間にわたって用量依存的に増加することがわかりました。
くれぐれも、妊娠中の喫煙はさけるようにしましょう。
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