5分でわかる新型コロナウイルス感染症 『実際受診したらどう対応される?』

5分でわかる新型コロナウイルス感染症 『実際受診したらどう対応される?』

今回大流行している新型コロナウイルス、潜伏期間の詳細は未だに検討中ではありますが2-14日と推定されており、これを踏まえると検疫を強化しても封じ込めは困難だと考えられます。また、国内でのヒトーヒト感染も確認されていることから、今後国内でもさらなる流行拡大が想定されます。
今回は新型コロナウイルスについて、知っておきたい正しい知識を、コンパクトにまとめました。(1月30日時点での内容です。)

新型コロナウイルスとは?

ヒトに感染を起こすものは6種類が知られていました。そのうち4種類は普通の風邪の原因の10-15%となっています。一方、中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)は重症化のリスクが高く大流行しました。今回、この6種類とは異なるコロナウイルスが発見されました。

症状だけでわかる?

症状だけで鑑別することは困難です。あえて特徴を言及するとすれば、今回の2019-nCoVは鼻汁やくしゃみ、咽頭痛といった上気道症状があまり目立たず、どちらかというと肺炎などといった下気道への親和性が高いのではと考えられています。また、SARSやMERSと異なる点としては下痢などの消化器症状が稀であることがわかっています。

感染力は強いのか?

よく感染症の指標として、『基本再生産数(R0)』が用いられます。これは、1人の感染者から生じる二次感染者の平均値を意味します。今回の2019-nCoVでは1.3-2.5と言われていますが、報告によってまだ異なっており、今後変動する可能性があります。以下に他の感染症との比較の表を載せておきます。

致死率はどれくらいか?

2020年1月27日時点では致死率は3%程度と想定されていますが、流行初期は重症例を中心に検査がなされるため、肺炎を起こしていないような軽症患者を分母に含めると致死率はさらに低下すると想定されます。ただし、感染者のうち、どれくらいの割合で肺炎を起こすかは不明です。
→新型コロナウイルス肺炎の致死率についてはこちらの記事を参照!

追記:1月30日現在、中国国内における新型コロナウイルス感染確定者7711例、死亡例170例ということで死亡率2.2%です。軽症例の感染も同定できるようになり、死亡率は低下していると考えられます。

重症化しやすい人は?

また、高齢者や合併症がある方では重症化しやすい傾向にあるとされています。これは、SARS流行の際と同じで、SARSでの死亡割合は65歳以上が50%以上を占めていました。このことから、SARSと同様、高齢者や基礎疾患があるかたは注意が必要です。
→新型コロナウイルスの死亡例についてはこちらの記事を参照!

治療法は?

治療については、2020年1月28日時点では特効薬的な抗ウイルス薬はなく、支持療法が中心です。構造解析から抗HIV薬として使用されていたロピナビル/リトナビルが有効である可能性がわかってきており、現在中国で臨床試験が行われています。
→新型コロナウイルスの治療薬についてはこちらの記事を参照!

感染予防対策は?

主な感染経路は接触感染と飛沫感染とされています。(空気感染については正確な情報が入り次第更新します)

接触感染:病原体が手を介して鼻や口などから体内へ入ること
飛沫感染:咳やくしゃみによって飛び散った病原体が口や鼻などの粘膜に直接触れて感染すること

基本的には、季節性インフルエンザなどと同じく、適切な咳エチケットと手指消毒が大切です。症状がある人はマスクをしましょう。マスクによる予防効果は疑問視されるケースが多いです。最近の研究では、人は1時間に平均して23回は顔を触るとされており、マスクによる接触感染の予防効果も示唆されていますので、「マスクは無意味」とは言い切れないかもしれません。
手洗いはしっかり行いましょう。手洗い前に約1,000,000個あったウイルスが、ハンドソープによる10秒のもみ洗いの後、流水で15秒すすぐことで数百個まで減少するとされています。

クリニックを受診したらどのような対応をされる?

今後流行が拡大にするにつれて、クリニックを受診される方が増えると思います。そのような際、一体どのような診察・診断がなされるでしょうか。
現時点の新型コロナウイルスですが、

・肺炎なしの軽症例を普通の風邪と見分けるは、迅速キットもなく不可能
・すべての患者を見つけるには、疑いのある患者すべてのPCR検査が必要だが、現実的ではない
確立した特異的な治療はない

このことから、軽症例では咳エチケットなどを指導した上で自宅安静の指示となり、肺炎を認めるなどの重症例では入院・支持療法ということになるでしょう。残念ですが、入院させてほしい→入院、とはなりません。
通常の風邪であれば、発症から3日経過すれば症状のピークがすぎることから、発症から3日を過ぎても増悪傾向である場合などは肺炎の可能性を考慮する必要があります。今回の2019-nCoVは発症から1週間前後で悪化することが多いとされていることから、『3-5日経過しても改善せず増悪する場合は再受診するように』と指示されることになるでしょう。

以上です。今回のようなケースでは、デマや不正確な情報が拡散し、パニックを引き起こすことが多いです。(必ずデマを流す人が出現します!!)正しい情報を複数から入手し、決してパニックにならず、落ち着いた行動を心がけましょう。

参考サイト:

NEJM特設サイト(2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV))

Lancet特設サイト(Coronavirus)