新型コロナウイルスに効果あり!?→残念ながら治験では効果なし… ロピナビル/リトナビル(カレトラ®︎)とは何か

新型コロナウイルスに効果あり!?→残念ながら治験では効果なし… ロピナビル/リトナビル(カレトラ®︎)とは何か

(注:この記事は3/20に更新されました)

(残念ながら臨床試験で効果が乏しいことが発表されました)

今回の新型コロナウイルス肺炎では、流行が確認されてから薬剤候補の同定までが非常に早いスピードで行われ、現在も最新技術を駆使して研究が進んでいるようです。

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1月初めに新型コロナウイルスと発表がなされ、1/10にはゲノム配列が解明、1/21にはそのゲノム配列に基づいた最初の科学論文が発表、その後、1/25には結晶構造解析とそれに基づくスクリーニングや酵素活性測定によって、阻害活性を有する30種の既知の化合物が同定されました。ものすごいスピードです。同定された既知の薬剤の中で12種類はHIV治療薬であり、その中で、ロピナビル/リトナビル(カレトラ®︎)の有効性と安全性を評価するためのランダム化比較試験が開始されました。

さて、新型コロナウイルス肺炎に効果があると考えられているロピナビル/リトナビル(カレトラ®︎)とはどのような薬なのでしょうか。

最初に書きましたように、この薬剤はもともとエイズウイルスに対して使用されている薬剤です。

主成分の『ロピナビル』は、エイズウイルスのプロテアーゼという酵素の働きを阻害することで、感染性をもつ成熟ウイルスへの移行を阻害します。これによって、新たな細胞への感染が起こらなくなり、エイズウイルスの増殖が抑制されるのです。このような作用から「プロテアーゼ阻害薬」と呼ばれています。

ロピナビル

もう一つの配合成分『リトナビル』は、抗ウイルス効果よりも、効果を高めるための『ブースター』として採用されています。つまり、主成分のロピナビルの血中濃度を高め、その効力を増強・維持するのが主な目的として使用されます。そのメカニズムは、多くの薬剤の代謝・分解にかかわる酵素であるCYP3Aを阻害することに基づいています。1997年のこの発見でプロテアーゼ阻害薬およびHAART療法(HIVに対する多剤併用療法)の副作用が大幅に減少したという歴史があります。

リトナビル

なお、この薬剤を使用できない禁忌ケースもあるので、以下に載せておきます。

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【禁忌】(添付文書より)
次の患者には投与しないこと

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・次の薬剤を投与中の患者
ピモジド,エルゴタミン酒石酸塩,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,エルゴメトリンマレイン酸塩,メチルエルゴメトリンマレイン酸塩,ミダゾラム,トリアゾラム,バルデナフィル塩酸塩水和物,シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ),タダラフィル(アドシルカ),ブロナンセリン,アゼルニジピン,リバーロキサバン,ロミタピドメシル酸塩,リオシグアト,ボリコナゾール,グラゾプレビル水和物
・腎機能又は肝機能障害のある患者で,コルヒチンを投与中の患者

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その他にも、リトナビルの作用機序ゆえ、併用注意の薬剤も多いので注意が必要です。

さて、すでにロピナビル/リトナビル(カレトラ®︎)が新型コロナウイルス肺炎に対してどの程度効果があるのか、治験も始まっているので、続報を待ちたいと思います。

以下、2020/3/20に追記!!

治験の結果が発表されました! 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者199例を対象に、抗HIV薬ロピナビル・リトナビルの効果を非盲検無作為化比較試験で検討しています。標準治療に加えてロピナビル・リトナビル(それぞれ400mg・100mg)を1日2回、14日間経口投与するグループと標準治療のみを実施するグループに無作為に割り付けて試験を開始。その結果、両グループ間で有意な差はなく、28日時の死亡率も同等でした。
残念!ということで、ロピナビル・リトナビルの効果は乏しいようです。
発表論文→Bin Cao, et al. Serial Interval of Novel Coronavirus (COVID-19) Infections. N Engl J Med. 2020 Mar 19.