新型コロナウイルス死亡例の現病歴まとめ

新型コロナウイルス死亡例の現病歴まとめ

中国を中心として、日本やタイ、韓国、台湾、米国で患者が発生している新型コロナウイルス(2019-nCoV)は、国家衛生健康委員会の最新の発表によれば、1月24日時点で患者の数は800人を超え、死亡した人は25人になったと発表されました。
今回は1月23日時点で症例が公表されている17例の現病歴について紹介したいと思います。死亡症例の情報は断片的にしか記事にされていないことが多いと思いますので、ぜひ参考にしてください。

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※この記事は中国衛生当局の公開情報を元に和訳して作成しています。正確性には完全な責任を負いませんが、誤訳があった場合は修正いたします。

死亡症例(17例)の現病歴一覧

症例1 61歳男性

既往歴:肝硬変、粘液腫
2019年12月20日に発熱や咳嗽を自覚。全身の衰弱のため、同27日に武漢市普仁医院呼吸器科へ入院となった。28日にICU入室、30日に気管挿管となり、31日に金銀潭医院ICUへ転院。転院時はショック昏迷状態であった。2020年1月1日からECMO(体外式膜型人工肺)が導入され、感染症、ショック、アシドーシスなどに対して対症的な支持療法が行われたが、1月9日20時47分に心停止。ECMO血流量が0.2L/分に急減し、同日23時13分、死亡が確認された。

症例2 69歳男性

既往歴:記載なし
4日前から発熱と咳の症状が出現し、2日前からの呼吸困難のため武漢赤十字医院へ入院。呼吸状態増悪のため2020年1月3日には人工呼吸器が導入された。この時点では血液生化学所見は維持されていた。4日に金銀潭医院へ転院。このときの入院時診断は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、呼吸不全、重症肺炎、意識不明、胸水、および大動脈アテローム性動脈硬化症であった。胸部CTでは両肺に広汎なすりガラス状陰影を、心電図ではST変化も認められた。金銀潭医院では、ICU管理下で人工呼吸器の導入、CRRT(持続的腎代替療法)、感染症治療、肝保護などの対症・支持療法が行われた。病状は改善せず、敗血症性ショック、微小循環不全、凝固機能障害をきたし、血液所見はさらに増悪した。15日0時15分に心停止。昇圧剤を用いた蘇生処置を行ったが心拍再開に至らず、同日0時45分に死亡となった。

症例3 89歳男性

既往歴:高血圧、脳梗塞
2020年1月5日、尿失禁のため華中科技大学同済医学院附属同済医院泌尿器科を紹介され受診したが、意識懸濁・消失のため8日救急科へ転科、ウイルス性肺炎および急性呼吸不全と診断された。低酸素血症を認め、胸部CTでは両肺に異常影、少量の胸水、胸膜癒着を認めた。血液検査では、白血球の増加とリンパ球の減少を認めた。9日、観察病棟へ移動し支持療法が行われた。13日に機械的陽圧換気を導入したが、14日に昏睡状態となり、人工呼吸器補助下での血中酸素飽和度が50-85%となった。15日に感染症病棟へ入院。18日10時30分、移動前に測定した血圧は140/78mmHg、人工呼吸器補助換気下SpO2は85%だったが、移動中に呼吸停止。救命処置を2時間行ったが、同日13時37分に死亡が確認された。

症例4 89歳男性

既往歴:高血圧、糖尿病、冠動脈症候群、不整脈、冠動脈ステント留置術
2020年1月13日に症状が出現。受診4時間前までに明らかな誘引のない息切れがあった。呼吸困難や発熱はなかった。18日、深刻な呼吸困難が出現したため、華中科技大学同済医学院附属協和医院救急科を受診した。病理学検査ではクラミジア肺炎陽性、新型コロナウイルス陽性、胸部CTにてウイルス性肺炎の典型的な変化を認めた。19日23時39分、状態悪化のため死亡した。

症例5 66歳男性

既往歴:COPD、高血圧、2型糖尿病、慢性腎不全、上行大動脈人工大動脈置換(2007年)、腹部大動脈ステント留置(2017年)、胆嚢摘出術、多臓器損傷
6日前からの断続的な咳、頭痛、疲労、発熱のため、2020年1月16日に武鋼総医院へ入院。胸部CTで、両側肺炎、左上肺の線維化、左上肺の結節を認めた。17日に呼吸困難が出現。血液ガス分析で1型呼吸不全の診断となり、酸素吸入、感染症治療、抗ウイルス治療などの対症療法が開始された。20日10時10分、SpO2が40%まで急激に低下し、非侵襲的補助換気が導入された。再度重度の呼吸不全に至った時点で家族へ告知したところ、気管挿管の再実施は行わない方針となった。 同日10時35分、死亡が確認された。

症例6 75歳男性

既往歴:高血圧、股関節形成術
5日前からの咳嗽、発熱と2日前からの嘔吐のため、2020年1月11日17時19分、武漢市第五医院へ入院。入院時体温は38.2℃だった。疲労感、食欲不振、咳、鼻づまり、めまい、頭痛、振戦、筋肉痛、関節痛があったが、著明な悪寒は認めなかった。胸部CTでは間質性肺炎の所見を認めた。入院後は危機的な状態であり、対症療法として酸素、感染症治療、抗ウイルス療法、pH補正、解熱剤投与、補液管理が行われた。病状は進行性に悪化し、15日にICUにて人工呼吸管理を開始したが、20日11時25分に死亡が確認された。

症例7 48歳女性

既往歴:糖尿病、脳梗塞
2019年12月10日に38℃の発熱と体部痛、疲労感、咳嗽が出現。かかりつけ医で2週間、感染症治療を受けたが改善しなかった。27日、労作時の胸部圧迫感と息切れが出現し、華中科技大学同済医学院附属同済医院で非侵襲的換気と感染症治療が開始されたが症状が増悪した。31日、金銀潭医院へ転院となり、経鼻高流量酸素吸入療法などの対症療法が施行されたが、低酸素状態は改善されず、病状はさらに悪化した。2020年1月14日、胸部CTで両肺にびまん性の器質化変化と、特に下肺に気管支拡張を認めた。20日には気管挿管および鎮痛、鎮静が行われたが、SpO2、血圧、心拍数が低下し、同日11時50分死亡した。

症例8 82歳男性

既往歴:記載なし
5日前からの全身の悪寒と痛みのため、2020年1月14日15時41分に武漢市第五医院へ入院した。心電図モニタリング、および対症療法として非侵襲的人工呼吸器補助呼吸、感染症治療、抗ウイルス療法が行われた。19日に不明瞭な発語および左肢の脱力を認めたため、脳卒中の発症が考慮された。病状は進行し、呼吸不全が悪化。その後、次第に心拍が低下したため救命措置が行われたが、家族が気管挿管を拒否したため、21日1時18分、死亡が確認された。

症例9 66歳男性

既往歴:記載なし
2019年12月22日まで誘因のない乾性の咳嗽が出現。発熱はなかった。同31日に労作後の明らかな胸部圧迫感および息切れが出現し、中央病院を受診した。2020年1月2日に金銀潭医院へ転院した際の画像では、広範な浸潤影を伴うびまん性肺病変が認められた。入院後は対症療法として経鼻高流量酸素療法などが行われたが、低酸素状態は改善されなかった。12日、呼吸状態悪化のため人工呼吸器による補助呼吸を導入。鎮静状態で、体温は36.7℃であった。抗菌治療が継続された。しかし、酸素状態の改善は得られず、人工呼吸器の吸気酸素濃度は50%前後、動脈酸素分圧は80 mmHgに低下した。発症からの長い経過に加え、本症例は免疫機能が脆弱であり、敗血症性ショックを起こすリスクもあった。21日9時50分、死亡が確認された。

症例10 81歳男性

既往歴:記載なし 
3日間続く発熱のため、2020年1月18日に武漢市第一医院へ入院。入院時の胸部CTで両肺に感染性病変が認められ、ウイルス性肺炎が想定された。入院後、腎機能と肺の状態は悪化し、22日朝から意識混濁、呼吸数と血圧が低下した。胸部圧迫や気管切開などの救命措置は患者家族が望まれなかった。同日10時56分に呼吸停止、死亡確認となった。

症例11 82歳女性

既往歴:パーキンソン病(5年間)、抗パーキンソン病薬内服
2020年1月3日に発症、「発熱、咳、胸部圧迫感および疲労」のため、6日に湖北省中西医結合医院で「ウイルス性肺炎および呼吸不全」と診断された。病状進行のため、20日に金銀潭医院に転院となり、22日には人工呼吸器による支持療法が開始されたが、呼吸不全は改善せず、同日18時に死亡が確認された。

症例12 65歳男性

既往歴:記載なし
3日間持続する疲労感および息切れのため、2020年1月11日に武漢市第一医院へ入院となった。入院時所見は呼吸困難、胸部圧迫感と息切れ、重症肺炎および急性呼吸不全、肝機能障害と診断された。21日19時、心拍数および血圧の低下、両眼瞳孔光反射の消失を認めたため、気管挿管と人工胸部圧迫、強心剤投与などの治療が行われたが回復せず、同日19時54分に死亡が確認された。

症例13 80歳女性

既往歴:高血圧(20年以上)、糖尿病(20年以上)、パーキンソン病
2020年1月11日に発症。発熱、咳嗽、喘鳴、呼吸困難のため18日に華潤武鋼総医院へ入院後、新型コロナウイルス陽性が確認。20日に金銀潭医院へ転院。入院後は危機的な状態が続き、ICUで対症療法としての感染症治療、人工呼吸器補助呼吸が行われた。病状は改善せず、低酸素血症が持続し、意識消失をきたした。人工呼吸の状態で、22日16時に死亡確認となった。

症例14 53歳男性

既往歴:記載なし
発熱のため、2020年1月初旬に地域の病院を受診したが、数日経過しても改善せず、発熱と咳、胸部圧迫感が増悪した。13日に華中科技大学同済医学院附属同済医院救急部を受診したところ、胸部CTで両側性肺感染症と呼吸不全が確認された。18日に重篤な状況となり、非侵襲的人工呼吸器が導入された。20日に金銀潭医院へ転院となり、支持療法が行われたが状態は改善せず、21日4時、死亡となった。

症例15 86歳男性

既往歴:糖尿病、高血圧、結腸癌(4年前に手術)
2020年1月9日から1週間持続する疲労感のため、湖北省新華医院へ入院した。発熱はなかったが、入院後の胸部CTで両側肺野に複数のすりガラス陰影と、著明な低酸素症、頻呼吸、昏睡傾向、摂食困難を認めた。家族は挿管を望まれなかった。経鼻での酸素吸入のみを行い、21日17時50分に死亡となった。

症例16 70歳女性

既往歴:記載なし
持続する高熱のため、2020年1月13日から武漢市第一医院へ入院。入院時は意識混濁で、急性肺炎が疑われた。心音が減弱、異常な呼吸音を聴取した。画像では肺に重度の感染像が示され、重度呼吸不全を伴う重症肺炎が考えられた。対症療法が行われたが、呼吸不全は改善されず、21日に死亡した。

症例17 84歳男性

既往歴:慢性気管支炎、不安定狭心症、冠動脈ステント留置術、高血圧、胃腸出血、腎不全、高脂血症、高尿酸血症、ラクナ梗塞
発熱、咳嗽、3日前からの喘鳴のため2020年1月9日17時4分に武漢市第五医院へ入院となった。病状の悪化と持続する高熱のため、18日にICU入室となり、対症療法が行われたが、22日10時16分に呼吸が停止、同日10時52分に死亡が確認された。


23日までに確認されている死者の情報からわかること

死者の大半は60歳以上の高齢者

一連の症例報告からは死者の大半が高齢者であることがわかります。若い感染者はすでに退院していると中国の国家衛生健康委員会(NHC)は発表しています。

合併症を有している症例が多い

症例をみると多くは糖尿病や脳梗塞を始めとした基礎疾患を有していたことがわかります。インフルエンザなどその他のウイルス感染症でも同じことですが、合併症を有している方はリスクが高いと言えるでしょう。

急速に死亡者数も増えているようです。新しい情報が入れば更新していきたいと思います。