女性に多い『膀胱炎』知っておきたい知識

女性に多い『膀胱炎』知っておきたい知識
膀胱炎とは、膀胱内で細菌が繁殖して起こった感染症のことを意味します。
比較的若い女性も多く発症し、外来でも受診される方が非常に多いです。今回はその膀胱炎について知っておきたいことをまとめます。
*膀胱炎は病勢により急性膀胱炎と慢性膀胱炎に分類され、また基礎疾患の有無により、複雑性膀胱炎と単純性膀胱炎に分けられますが、ここでは比較的若い女性にも多く発症する急性膀胱炎についてまとめます。
 

症状は排尿時痛、残尿感、頻尿、下腹部痛など

 膀胱炎を疑うきっかけとなる症状は、排尿するときに痛みを伴う排尿時痛や、何度もトイレに行きたくてたまらなくなってしまうような尿意切迫感、頻尿という症状です。これらの症状は膀胱刺激症状と呼ばれています。このような症状に加えて、尿検査において膿尿(尿中の白血球)や細菌尿(尿中の細菌)を確認して診断に至ります。
ただし、膀胱刺激症状を認める場合でも、帯下の増加、陰部掻痒感、性交時痛などを認める場合は、女性器感染症を最初の鑑別に考える必要があります。本当は女性器感染症なのに膀胱炎と診断されてしまう可能性もゼロではないので、帯下の増加、陰部掻痒感、性交時痛などの症状があるときは担当医にしっかり伝えていきましょう。
 

発熱や腰痛があるときは急性腎盂腎炎の可能性あり

 膀胱炎では一般的に38℃以上の発熱や全身症状を呈しません。このような全身性の症状が出現する場合は急性腎盂腎炎を発症している可能性があります。急性腎盂腎炎とは、膀胱炎のうち大腸菌などの感染が腎臓にまで及ぶ炎症で、発熱と感染が起きた腎臓側の腰背部痛、腎部圧痛が出現します。受診されると必ず診察で腰の痛みについて聞かれたり、腰を軽く叩いて痛みの程度を調べたりします。急性腎盂腎炎の可能性を考慮するためです。
 

単純性膀胱炎の治療の基本は、抗菌薬投与、水分摂取

 急性単純性膀胱炎の原因菌の60~80%は大腸菌です。単純性膀胱炎は、抗菌薬に対する反応が非常によく、通常抗菌薬内服後2~3日で症状は改善します。
治療の期間に関しては通常3~7日間が多いです。65歳以上の患者で3~6日間投与したグループと、7~14日間治療したグループを比較した研究の結果では、治療効果には差はありませんでした。
 

男性では稀

 女性は尿道が短いため男性と比較して膀胱炎に罹患しやすい傾向にあります。一方、成人以上の男性は尿道が長く膀胱炎にはかかりにくく、成人以上の男性に尿路感染症が発症した場合は、『複雑性尿路感染症』と判断して、より詳しく検査を受けることが推奨されます。
 

無症候性細菌尿は妊婦では治療が望ましい

 無症候性細菌尿とは、症状はないけれど尿検査をしたら細菌が確認されたという状況を意味します。無症候性細菌尿が発覚した場合、治療を行うことで症候性の尿路感染症の予防となることは証明されておらず、通常治療は行いません。しかし、妊婦では、無症候性細菌尿を無治療で経過を見ていると約3~4割で腎盂腎炎などの尿路感染症の合併をきたすことが知られており、抗菌薬の投与によってこの合併率を7~8割減らすことができるため、積極的に治療を考慮するということになっています。