感染リスクの高い性感染症『クラミジア感染症』

感染リスクの高い性感染症『クラミジア感染症』
クラミジア感染症は世界的に最も頻度が高い性感染症として取り扱われています。1998年~2002年にかけての調査で10~20代の女性に広く蔓延していることが指摘され、現在でも若い女性の間で無症状も含めて多くの感染者が存在すると推測されています。
今回はそのクラミジア感染症について知っておきたいことをまとめました。
 

90%が無症状で放置されることが多い

 クラミジア子宮頸管炎とは、性交渉によりクラミジア・トラコマチスが子宮頸部の円柱細胞に感染して発症する疾患です。感染時に帯下異常や不正性器出血を自覚しますが、90%以上が無症状です。そのため、無治療で放置され感染源となることが多いとされており、そのため米国疾病管理予防センターでは特に症状がなくても25歳以下の性活動を持つ女性、25~30歳でパートナーが変わった人、複数のパートナーのある人を対象としてクラミジアに対するスクリーニング検査の実施を推奨しています。
 

放置すると不妊の原因になることもあり

 子宮頸管炎を治療せず放置すると、上行性感染して子宮内膜炎、卵管炎を引き起こします。さらに、感染が骨盤内へ波及すると骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease、PID)や肝周囲炎、Fitz-Hugh-Curtis 症候群という状態に至ることがあります。これらの卵管障害は卵管不妊や異所性妊娠の原因になるため、早期治療が必要とされています。クラミジア子宮頸管炎の自覚症状は、あったとしても帯下異常、不正性器出血ですが、PIDや肝周囲炎を発症すると下腹部痛や右上腹部痛を自覚することになります。
また、妊婦が感染すると産道感染を引き起こし、新生児が結膜炎や肺炎を発症します。このため、妊婦は妊娠中にクラミジアの検査を行い、陽性例は出産までに治療を行う必要があります。
 

クラミジアだけでなく、淋病との重複感染のリスクも高い

 クラミジア陽性者の約10%に淋菌感染症を合併するため、クラミジア頸管炎を疑った場合はその鑑別で淋菌の評価も行うことが望ましいです。
淋菌感染症は性感染症のなかで女性ではクラミジアに比べると少ないですが、男性では最も多い性感染症です。このため、特に疑わしい場合はクラミジアと淋菌を同時検査して個別に治療を行う必要があります。男性の場合は感染すると、排尿の際に痛みが走り、濃い黄色の膿が出ます。女性は痛みを感じることが少ないため気付きにくいです。
 

パートナーの感染がわかったときはペアで治療することが望ましい

 クラミジアの感染力は強く、感染者との1回の性交渉で淋病では約30%、クラミジアでは50%以上において感染が成立します。 そのためパートナーの感染がわかったときは、たとえ無症状でも医療施設を受診し、ペアで治療することが必要です。パートナーのクラミジア感染を検査し、陽性であれば治療を必ず行うようにしましょう。