はたらく細胞 超解説シリーズ「赤血球」

はたらく細胞  超解説シリーズ「赤血球」

体内細胞の活躍を描いた細胞擬人化ファンタジー「はたらく細胞」
シリーズ累計発行部数330万部の人気作品です。
今日はその作品中でメインで登場する「赤血球」について紹介します。
作品中では配達員のようなキャラクター(声:花澤香菜)で、箱や台車を使って酸素や二酸化炭素を運んでいます。動脈では急ぎ足、静脈ではのんびり移動したり、溶血性の細菌に襲われたりなど、実際の身体を面白く擬人化していますね。もちろんアレンジしているところもありますが、医学的に見ても擬人化の仕方がとても面白いです。

この赤血球ですが、アニメの描写ってホントに正しいの? 酸素を運ぶことは知ってるけど、二酸化炭素も運んでるけど間違ってない? など、いろいろな意見もあるので、実際の赤血球の基礎知識をまとめました!

赤血球の構造

「はたらく細胞」シーズン1-1より

赤血球は核がなく、中央部がへこんだ形をしています。
「はたらく細胞」では帽子がまさにその形をしていますね。
細胞内小器官もなく、中央がへこんだ特有の形状によって、赤血球は高い変形能をもっており、表面積も大きくなっています。
具体的な大きさは、直径が7-8um, 厚さが2um程度です。

赤血球の色

赤血球が赤く見えるのは細胞質中にヘモグロビンを含んでいるためです。
中央部分はへこんだ形をしているのでヘモグロビンの含有量が少なく、明るく見えます。
通常この部分は直径の1/3を超えることはなく、超える場合は異常があると考えます。
酸素と結合したヘモグロビンは鮮やかな赤色、酸素と結合しないと暗い赤色となるため、動脈血と静脈血で色が変化します。

ちなみに、エビ、カニ、貝の一部やイカ・タコなどはヘモグロビンではなくヘモシアニンという色素を使用しています。ヘモシアニンは本来は酸素と結びつくことで銅イオン由来の青色になるため、このような生物では血液が青くなります。

核がない理由

① ガスの交換が効率よくできる
中央がへこんだ形状のために表面積が広くなり、効率よくガス交換ができます。

② 全身へ酸素を運ぶ
核や細胞内小器官がないため、自由自在に形をかえることができます。
そのため自分の直径よりも狭い毛細血管内でも自由に変形して通過することができ、全身へ酸素を運ぶことができます。
また、体積の調節も非常に融通が利くので、外圧や浸透圧の変化に対しても柔軟に対応できます。

③ より多くの酸素を運ぶ
核があるべきスペースにもヘモグロビンを含むことができるので多くの酸素を運ぶことができます。

赤血球の寿命

赤血球は骨髄で産生され、成熟した赤血球は約120日間体の中を循環した後に、脾臓をはじめとした網内系でマクロファージによって貪食されて崩壊します。

赤血球のはたらき

「はたらく細胞」シーズン1-1より

① 酸素運搬
「はたらく細胞」で赤血球がいつも持ち運んでいるのが酸素。
赤血球の主な働きである酸素の運搬は、主にヘモグロビンによって行われています。
ヘモグロビンは肺の肺胞で酸素を受け取って各組織へ運び、そこで酸素を放出します。
ヘモグロビンは酸素が豊富な肺などでは酸素を放出しにくく、酸素が少ない組織では酸素を放出しやすいという特徴があります。このしくみによってヘモグロビンは各組織に効率よく酸素を運ぶことができるのです。

② 二酸化炭素運搬の仲介役
赤血球は二酸化炭素運搬にも関与していることが知られています。
組織で産生された二酸化炭素の大部分は、赤血球の中で重炭酸イオンに変換されます。
赤血球の中の重炭酸イオンの濃度が上昇すると拡散の原理で重炭酸イオンは血漿へ移動し、血漿中に溶解して運搬されます。
肺の肺胞付近に到達すると、二酸化炭素の分圧が低下し、重炭酸イオンは再び赤血球内で二酸化炭素に変換されて、呼気へと排出されます。
一部(血中の二酸化炭素の10-20%)、重炭酸イオンに変換されなかった二酸化炭素は、ヘモグロビンと結合して、カルバミノヘモグロビンとして存在することもあります。
「はたらく細胞」では赤血球は酸素ではなく二酸化炭素を運んでいるシーンもあります。
赤血球って二酸化炭素を運ぶことあるの!? と思われた方もいると多いと思いますが、このカルバミノヘモグロビンを想定して描かれているとしたら作品のこだわりを感じますがどうでしょうか笑