熱中症って解熱剤使えば体温下がるんじゃね?→むしろ有害なので注意

熱中症って解熱剤使えば体温下がるんじゃね?→むしろ有害なので注意

熱中症って体温が上がるけど、解熱剤で下げれば大丈夫なんじゃね? 

→ 残念! 嘘です。効果は証明されていませんし、実臨床でも使用しません。それどころか有害である可能性もあるので要注意です。

熱中症に解熱剤は効果無し

熱中症の治療で薬物により体温の低下を図ることはしません。一般的な解熱鎮痛薬は体温中枢の設定温を下げて正常化させることによって熱を下げるので、感染症などの体温調節中枢の設定温が上昇する病態には効果がありますが、重症熱中症では,視床下部の体温中枢が機能しないため、アセトアミノフェンなどの解熱薬の効果は期待できないと考えられています。むしろ、肝不全や腎不全など臓器障害を助長する可能性が懸念されています。

現時点で、熱中症の高体温を是正可能な有効薬剤はありません。
麻酔薬誘発性の悪性高熱症の治療などに使用されるダントロレンという薬がありますが、熱中症に対するダントロレンの有効性はランダム化比較試験で否定されています。

同じ理由で、熱中症による頭痛に対する鎮痛剤も有害に働く可能性があるので注意です!

熱射病では体温はどう下げる?

若い運動選手の運動誘発性熱射病は、水風呂に漬かるのが一番早く有効とされています。
高齢者の古典的熱射病では、気化熱を利用した場合と水風呂ではっきりとした差は指摘できていませんが、気化を利用したほうが、冷却時間はかかるが死亡率は低下する傾向にあるとされています。
ただ、一般的には病院ではモニタリングが難しくなることや、水風呂がすぐには手に入らないなどの理由から、霧吹きと扇風機を用いることが多いです。

体温は38~39℃まで下げることが多いですが、目標値にエビデンスはありません。下げすぎると低体温になる可能性があるので注意です。また、体温の急な低下でけいれんが生じた場合はベンゾジアゼピンで加療を行います。

 

参考文献:
N Engl J Med. 2002 Jun 20;346(25):1978-88.
J Emerg Med. 2016 Apr;50(4):607-16.
Crit Care. 2007;11(3):R54.