点滴は意味ない!?『アルコールの常識』ベスト5(医療版)

点滴は意味ない!?『アルコールの常識』ベスト5(医療版)

医療版『アルコールの常識』ベスト5

ビアガーデンの季節!! ということでお酒を飲む機会も増えてきました。

ところで、アルコールについての情報はネット上に溢れていますが、本当に正しい情報なのでしょうか。もしかしたら「酔いつぶれたら病院にいって点滴してもらおう」と思っている方も多いでのはないでしょうか。都内では、『酔い覚まし』のために救急車で来院する方が急増しており、スタッフも疲弊しています。ここでは医療従事者の間ではよく知られており、また科学的根拠(研究論文)がある事実をまとめ、シンプルに5つ紹介したい思います!

リンクはすべて根拠となる論文です。興味のある方はチェックしてみてください!

 

日本人ではアルコール摂取量23g/日未満の場合、死亡率が最も低い

 
アルコール摂取量23g/日とは日本酒に換算すると1日1合の量、もしくはビール中瓶一本が目安です。この程度であれば「酒は百薬の長」ということなのでしょう。
 
Ann Epidemiol. 2005 Sep; 15(8):590-7 
 

アルコールは9割以上が肝代謝。点滴の効果は実は不明。

 
酔いつぶれて救急車で運ばれた経験、ありませんか? 救急車で運ばれると多くの場合点滴を受けますが、その効果は実は不明です。肝臓での代謝がほとんどであり、腎代謝の割合はわずかです。1時間あたり104-120mg/kgしか代謝できないとされています。強制利尿は無効であるという研究もあり、急性アルコール中毒に対し、救急外来で点滴療法が行われることがありますが、治療によりアルコール血中濃度の低下が速やかに得られるかどうかは不明です。飲みすぎで救急外来を受診した方に対して、とりあえず点滴をする病院が多いですが、ただ救急外来滞在時間がのびただけ、という研究もあります。もちろん脱水や循環動態不全に対して補液はしますが、急性アルコール中毒に対する点滴療法の適応は慎重に検討すべきです。
 
Alcohol Clin Exp Res. 1993 Feb; 17(1):48-53
Am J Emerg Med. 1995 MAy; 13(3) : 276-80
日本中毒学会HP
 
 

アルコール依存症の診断は血液検査よりも病歴のほうが重要である

 
CAGE質問が有名でよく用いられます。女性や妊婦ではCAGE質問の感度が低いので注意が必要です。
 
【CAGE質問】
1. あなたは今までに、飲酒を減らさなければいけないと思ったことがありますか?(Cut down)
 2. あなたは今までに、飲酒を批判されて、腹が立ったり苛立ったことがありますか?(Annoyed by criticism)
 3. あなたは今までに、飲酒に後ろめたい気持ちや罪悪感を持ったことがありますか?(Guilty feeling)
 4. あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?(Eye-opener)
 
上記のうち、2項目以上あてはまる場合は、アルコール依存症の可能性があります。
 
なお、アルコール依存者に飲酒量を聞いても半分未満の量を申告することが多いため、飲酒量の問診はあてにならないとされています。
 
 

アルコール関連の突然死の平均年齢は52歳である

 
アルコール関連の突然死の原因としては、中毒や外傷、自殺、肝疾患、消化管出血、心疾患などがあります。原因不明の突然死の原因としては、ビタミンB1欠乏症やアルコール性ケトアシドーシスの関与が示唆されています。
 
Arukoru Kenkyuto Yakubutsu Ison. 1993 Jun; 28(3): 95-119
 

日本の中年男性の肝硬変、肝がん、食道がん、頭頸部がんの死亡の8割がアルコールに関連すると推測されている

 
肝臓や食道癌の関連することはよく知られているのではないでしょうか。肝障害以外にもアルコールの害は幅広い症状に関連しており、つまみに塩分含有量が多いことも関連して、高血圧や心不全の原因にもなります。脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患もアルコール依存者では圧倒的に多いことが知られています。
 
Alcohol Clin Exp Res. 2000 Mar; 24(3):382-5
Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2004 Mar-Apr;70(2):79-81
 
 
 
以上です。アルコールについての医療界での常識ベスト5でした!
皆さんはどのくらいご存知でしたか? くれぐれも飲み過ぎには注意してください! 病院は『酔い覚まし』の場所ではありません!
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