ラジエーションハウス第8話:虫垂腫瘍、腹膜偽粘液腫とは

ラジエーションハウス第8話:虫垂腫瘍、腹膜偽粘液腫とは

ラジエーションハウス第8話が2019/05/27放送されました。

その中で、虫垂炎(日常用語では盲腸と呼ばれるもの)と一時診断されましたが、五十嵐唯織(窪田さん)と甘春杏(本田翼さん)により、虫垂腫瘍と診断されました。

今回は虫垂腫瘍と、その中の腹膜偽粘液腫についてです。

 

虫垂腫瘍は病理組織的に、粘液嚢胞性、カルチノイド系、稀ですが平滑筋腫など、治療を行わないと発展する偽粘液腫があります。

虫垂腫瘍は明確なガイドラインが未だにありませんが、現在は基本的には悪性腫瘍として判断されます。というのも、病理組織学的に良性であっても、腹膜偽粘液腫に至る可能性があるからです。

診断は、ドラマの通り、虫垂炎として疑われ、造影CT検査を撮影された際に偶発的に発見されることが多いです。近年は、大腸内視鏡検査の一般化ならびにカメラ性能の向上などから、虫垂の入り口まで観察されるので、これにて発見されることもあります。その場合は内視鏡で生検により組織学的診断を得られる可能性が高いです。

治療は、無症状だからと放置すると腹膜偽粘液腫となる可能性があるので、外科的切除となりますし、悪性が疑われる虫垂癌の場合はリンパ節郭清、回盲部切除などの”癌”としての外科的手術になります。

しばしば問題になるのが、虫垂炎として手術した場合です。虫垂炎の手術は、重症であればその限りではありませんが、一般的には虫垂切除です。万一、その後の病理学的診断で虫垂癌であった場合は、再手術にて拡大手術をしなければなりませんし、粘液腫であった場合、術中に粘液がこぼれてしまえば、偽粘液腫のように播種する可能性もあります。

 

腹膜偽粘液腫の治療としては、一部の施設では腹膜切除を伴う腹腔内温熱化学療法の組み合わせなどありますが、こちらも一定のコンセンサスは得られていません。

 

急性虫垂炎は緊急疾患として一般的な急性腹症であり、診断次第手術となることもありますが、近年は抗生物質でも十分奏功することが多いです。もちろん手術は必要な際は手術が推奨されることもしばしばあります。医師が気をつけることは、外科の先生など虫垂のCTを見慣れていれば、虫垂炎と虫垂腫瘍を鑑別にあげ、不必要に緊急手術をしないように躊躇う事ができると思いますが、夜間など人手が少ないときなどに、急性虫垂炎として緊急手術をする際は、常に虫垂腫瘍が潜んでいる可能性があることを忘れないことです。