大気汚染による死亡数は、実は喫煙による死亡数より多かった。

大気汚染による死亡数は、実は喫煙による死亡数より多かった。
みなさん、大気汚染によってどのくらいの方が亡くなっているか知っていますか?
大気汚染は年々深刻化しており、私達の体に及ぼす影響も同様に深刻化してきています。
過去の研究では、大気汚染の影響により、全死亡率は、PM2.5曝露量が10μg/m3増えるごとに7.3%上昇し、オゾン曝露量が10ppb増えるごとに1.1%上昇しているということが、2017年にハーバード大から発表されています。
N Engl J Med. 2017 Jun 29;376(26):2513-2522.
 
今回はドイツの研究グループから、大気汚染による死亡数を検討した最新のデータが発表されたので紹介します。
 
WHOのデータと16カ国41件のコホート研究を組み合わせ、さらに最新のモデルを用いて死亡数を検討した結果、大気汚染による年間の死亡数はヨーロッパ全体で79万人、全世界では880万人と計算されました。
死亡の原因としては虚血性心疾患が40%と最も多く、脳卒中8%と合わせると48%が心血管疾患であったということです。
 
一方、WHOによると喫煙による死亡数は720万人と推定されており、今回の結果と比較すると大気汚染による死亡数の方が喫煙による死亡数より多かったということがわかりました。
 
そう、なんと喫煙による死亡数より多いのです。
 
大気汚染による死亡数の話を聞いてもピンとこない方が多いと思いますが、喫煙による死亡数よりも多い、と聞くとその深刻さが伝わってくるのではないでしょうか。
 
喫煙は自分でタバコをやめれば防ぐことができます。しかし、大気汚染はなかなか個人の努力だけで解決するのは困難です。大気汚染物質の多くが化石燃料の燃焼により発生しており、再生可能エネルギーへの切り替えなど世界的に取り組んでいく必要があります。このような研究成果によって、社会全体で取り組む必要のある課題として再認識されるとよいですね。
私達自身も、自分の健康のためにも、タバコと同程度のリスクがあると思って、取り組めることから大気汚染対策を始めていきましょう。
Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Sep 18;115(38):9592-9597.