チョコレートが健康に及ぼす効果(糖尿病ver)

チョコレートが健康に及ぼす効果(糖尿病ver)

もうすぐバレンタインですね! さて、前回『チョコレートが健康に及ぼす効果』として心疾患や脳卒中に対する予防効果についての記事をUPしました。

どうかなと思ってまとめたのですが、思ったよりもエビデンスがありました。ただ、驚くほどの効果があるかと言われるとそうでもありませんでしたね。 このチョコレート、ではたくさん食べればいいのかというと、気になるのが、そう、糖分です。

チョコレート、糖分は大丈夫?? 糖尿病は??

実はチョコレートに含まれるカカオポリフェノールには抗酸化作用があり、インスリン抵抗性を改善することで糖尿病の発症リスクを低下させるという論文があるようです。 ( J Community Hosp Intern Med Perspect. 2017 Sep 19;7(4):218-221.)

そこで今回はチョコレートと糖尿病の関連について、まとめようと思います。 2つの論文を紹介します。


1つめ

Consumption of coffee, green tea, oolong tea, black tea, chocolate snacks and the caffeine content in relation to risk of diabetes in Japanese men and women.

Br J Nutr. 2010 Feb;103(3):453-9.

こちらは日本人を対象とした研究で、非常に参考になります。
5897人の男性と、7643人の女性が対象として、チョコレート摂取と糖尿病発症について調べています。 この論文では「ハザード比」という値が使用されています。ハザード比と相対危険度の違いは専門的な領域になってくるので一言で説明することは難しく、別の機会に譲りますが、イメージとしては、相対危険度はある期間の平均の発生率の比であるのに対して、ハザード比はある時間(瞬間)における発生率の比という感じです。何やら難しいですが、解釈の仕方は相対危険度と同じで1より大きいか小さいかをみていけばOKです。
すると、週に1回以上のチョコレートの摂取において

ハザード比:男性 0.65 (0.52-0.99), 女性 0.73 (0.48-1.13)

ということで男性では信頼区間も含めてぎりぎり1を下回っていますね。女性では統計学的な有意差は認められませんでした。
なお、チョコレート以外にもコーヒーや烏龍茶、緑茶などの効果についても検討されているようです。無料で読める論文なので、英語が得意で興味がある方はチラ見してみても面白いかもしれません。

 

2つめ

Chocolate Consumption and Risk of Coronary Heart Disease, Stroke, and Diabetes: A Meta-Analysis of Prospective Studies.

Nutrients. 2017 Jul 2;9(7).

こちらは前回の記事でも紹介した論文ですが、糖尿病についても調べています。 こちらの論文によると

相対危険度:0.82 (0.70-0.96)

ということで、こちらでもぎりぎり1を下回っています。

この論文ではチョコレートの摂取量と糖尿病のリスクについても調べております。次のグラフを見てください。

 

 

こちらは縦軸が糖尿病のリスク横軸がチョコレートの摂取量になります。 実線部分のグラフをみると、下に凸のグラフになっていることがわかります。 つまり、チョコレートを食べすぎは良くなく、適量がよいということになりますね。

でも、この結果をよく考えてみましょう。 チョコレートを全く摂取しない人と比べて、チョコレートを食べている人は健康状態が良いということになりますが、そもそも「適量のチョコレートを摂取できる人は健康である」可能性があります。 つまり、チョコレートを全く食べない方の中には、健康状態がそもそも悪くて摂取できていない人も含まれていたり、習慣的にたくさんチョコレートを食べている人はそもそもの食生活が乱れている可能性がありますね。

つまり、チョコレートを適量摂取することによって健康状態が良いのか、あるいは、チョコレートを適量食べるような人はそもそも健康的なのか、見極めることは非常に難しいのです。

チョコレートに限らず、前に取り上げたサプリメントの効果であったり、その他健康食品と言われているものの本当の効果を調べることは非常に難しいのです。(サプリメントの効果を調べた研究が、最先端の治療薬などの研究が報告されているような医学界で最も有名な雑誌に論文として掲載されるのです!)

この分野は本当に奥が深いです。正確な因果関係を導き出す手法は、今後の統計学の発展とともにこれからも進化していくでしょう。