サプリメントに効果はあるのか

サプリメントに効果はあるのか

健康食品やサプリの宣伝は世の中に溢れています。 多くは中高年をターゲットとしたマーケティングがなされていますが、本当に効果があるのか、背景にちゃんとした研究があるのか非常に気になりますね。

今回は「サプリメントの効果」について真正面からとりくんだハーバード大学からの論文を紹介します。 対象として調べられたのは「オメガ脂肪酸」と「ビタミンD」です。

ビタミンDはこれまでに、ビタミンD低値が癌や心血管疾患のリスクの上昇と相関するなどという結果が報告されていましたが、さまざまな交絡が存在するため、直接的な因果関係の確認が困難でした。 また、オメガ脂肪酸も心血管疾患のリスクを低下させるということが報告されていますが、再発予防や高リスクの患者では報告毎に結果が異なっていたり、癌との関連についても様々な報告がなされていて、一定の見解がありませんでした。

本当の因果関係を確かめる方法として、医学の世界では「ランダム化比較試験」という調査方法があります。これは例えば、特定の集団に対して、ある薬を飲むグループと飲まないグループをランダムに割り当てて、効果をみていくものです。

今回は紹介するのは、サプリメントと癌や心血管疾患の予防の関係を「ランダム化比較試験」で検討したものです。

アメリカの50歳以上の男性と55歳以上の女性を対象とし、合計25,871人が調査された。 サプリメントを飲むグループと、飲まないグループにランダムに分けて、心血管疾患と癌の予防に対する効果を、約5年間に渡って経過をたどり調査されました。 結果、オメガ脂肪酸においても、ビタミン D サプリメントにおいても、どちらも癌の予防や心血管疾患の予防、死亡数に全く影響がなかったことがわかりました。 つまり、両方サプリメントにおいて、中高年の2大疾患とも言われる「癌」「心血管疾患」を予防するという点で、統計学的に有意な効果がないことが示されました。

ただしこれは、オメガ脂肪酸やビタミンDが悪いサプリメントであるという報告ではありません。脳の発達などに重要な役割を果たしているという報告などがあるようです。別に毒であるわけでもありません。好きで摂取するのは全く問題ありません。

薬剤の効果を調べる場合、どのような方を対象とした研究で、何に対する効果を調べたのか、どのような解析方法がなされたのかなど、正しく理解しなければ、誤解を招く可能性があるので注意が必要です。 効果が当たり前のように思われているサプリメントであっても、それは実は正確な根拠のない・不十分な根拠をもとにした宣伝かもしれません。

かといって、今回紹介したような「ランダム化比較試験」は非常に費用と労力が必要となる研究であり、全ての薬やサプリメントで実施するのも非現実的です。何を持って十分の根拠とするかは非常に難しい問題で議論される内容です。

今後の動きに注目しつつ、みなさん、正しい情報を得られるようにしていきましょう。

N Engl J Med 2019; 380:23-32
N Engl J Med 2019; 380:33-44