医師国家試験予想問題シリーズ:鉄欠乏性貧血について

医師国家試験予想問題シリーズ:鉄欠乏性貧血について

※このシリーズでは、内科医・外科医で国試の予想問題を載せていきます。ただ知識の重箱の隅を突くような問題ではなく、臨床的な観点から非常に重要であり、かつ、総合的な知識が必要な問題を心がけています。

鉄欠乏性貧血について正しい選択肢を選べ。

① Hb < 7g/dLの場合、直ちに輸血を行う
② 点滴補正では鉄剤を生理食塩水で希釈し慎重に投与する
③ 二次性血小板増加の原因の1つである
④ ビタミンCは鉄剤の吸収を阻害する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は③

①正しくない

ガイドラインでは、「鉄欠乏性、ビタミンB12欠乏性などの貧血患者において、生命の維持に支障をきたす恐れがある場合以外は、赤血球輸血は推奨しない」とされています。 つまり明確な輸血基準値は定められていません。 これは意外と盲点で、実臨床でもHb 5.5g/dLなどを目にすると焦ってしまいますが、鉄欠乏性貧血の場合は輸血は原則しません。

 

②正しくない

静脈投与にて鉄剤投与を行う際は、ブドウ糖液で希釈することが推奨されています。 静注鉄剤は酸性化すると混濁、沈殿が見られ、酸化還元を促進する物質と配合するとコロイドを不安定にしてしまうため、pH 9-10のアルカリ性に保つことが必要です。また、電解質との配合もコロイドを不安定にしてしまうので、海外では鉄剤の生理食塩水による希釈は禁じられています。 通常はブドウ糖液に希釈して投与します。 なお、注射速度についても、2 分以上かけて徐々に静脈内に投与します。注入速度を緩徐にする事で一過性の頭痛、全身倦怠、心悸亢進、悪心、蕁麻疹、顔面紅潮等の副作用が防止できたという報告があります。

 

③正しい

これはかなり盲点で、今後臨床で進む際に頭の片隅に入れておくと良いでしょう。 エリスロポエチンが血小板産生の刺激因子としての働く場合があると考えられています。UpToDateにも記載があります。

 

④正しくない

ビタミンCは還元剤としての作用があり、鉄の吸収が促進されます。 ちなみによく処方されるフェロミアは、鉄と鉄吸収促進物質であるクエン酸の合剤なので、実はビタミンCを併用する必要はありません。フェロミア単独とフェロミア+ビタミンC併用で比較した臨床試験では貧血改善効果に差がなかったという報告があります。

逆に、鉄の吸収を阻害をするものとしては
・タンニン酸含有食品(お茶やコーヒーなど)
・乳製品
・制酸薬
などが知られています。ただしこれも、経口鉄剤をタンニン酸含有食品と一緒に摂取することを禁止する必要はないという報告があります。これは、鉄欠乏性貧血では鉄吸収率が亢進しており、たとえタンニン酸含有食品によって鉄吸収が多少阻害されていても、造血に必要な鉄分は十分に吸収することができるという理論です。

 

みなさん、正解できたでしょうか? 
国試受験生の方々、あと少しがんばりましょう!