画像とったら偶然見つかってしまった腫瘍 これ、癌なの…?

画像とったら偶然見つかってしまった腫瘍 これ、癌なの…?

そんなつもりじゃなかったのに…
別目的で検査受けただけなのに、CT撮ったら腫瘍が偶然見つかってしまった

CTやMRIなど近年画像検査の技術も日々進歩しておりますが、その分病気の検出率も向上し、思わぬ病気が偶然見つかることも珍しいことではなくなってきました。

健康で症状もなにもない患者の画像検査結果から、たまたま腫瘍が発見された場合、あるいは、症状があるために画像検査を受けたけれど、明らかに症状とは無関係の腫瘍が発見された場合、 その見つかった腫瘍のことを

インシデンタローマ(=偶発腫瘍)

と呼びます。
腫瘍と言っても、全てが癌というわけではありません。腫瘍には悪性腫瘍と良性腫瘍があり、悪性腫瘍がいわゆる「がん」に分類されます。 良性腫瘍であれば、大きな問題にならず、経過観察で良いケースも多いですが、悪性腫瘍の場合は治療していく必要があります。
どの画像検査を受けたときにインシデンタローマが見つかりやすいのか。 また、インシデンタローマが見つかってしまったときに、その腫瘍が悪性である確率はどの程度なのでしょうか。

今回の研究では2017年8月までに登録されていた、インシデンタローマに関する研究をまとめて解析しています。がんの既往のある患者は、インシデンタローマが癌の転移である可能性が高いので除外し、240件の過去の研究と、62万人以上の患者のデータを用いて調査が行われました。 インシデンタローマの発見率は、画像検査の種類によって異なっていました。最も高率であったのは胸部CT画像(心臓CTを含む)であり、続いて腹部CT、心臓MRI、脊椎MRI、脳MRIと続きました。

次に、気になる悪性腫瘍発見率ですが、インシデンタローマが見つかったときに、その腫瘍が悪性腫瘍であった確率が最も高かった臓器は乳房で、42%でした。その他の臓器では、卵巣、甲状腺が28%、腎臓が25%、大腸が17%、前立腺11%であったとのことです。
インシデンタローマの発見率は画像検査の種類によって異なっており、また、インシデンタローマが悪性腫瘍であった確率は乳房が最も高かったという報告でした。

画像検査で偶然発見されてしまう腫瘍は、発見された患者本人にとって大きな不安を与えます。また、切除前に生検などで確定診断がつけられるケースもありますが、中には悪性の可能性もあるため切除したものの、切除後に病理で良性腫瘍であったことがわかるケースもあります。つまり画像検査をしたことで、”実は良性”であった病変が偶発的にみつかってしまい、後から振り返ってみれば不必要であったその後の追加検査や治療が行われてしまうこともあるということです。もちろん見方を変えれば、悪性かもしれない病変が見つかったが良性でよかったということではありますが。

このように、インシデンタローマの扱いは、様々な問題を引き起こす可能性があり、非常に注目を集めている領域です。アメリカの委員会では、検査を行う前に患者と医師との間でインシデンタローマ発見の可能性などについて話し合うことが必要だと述べられています。

医師が目にする論文の中には、「治療可能な癌や診断されていなかった心血管病変などが発見されて命が救われた」などという報告も多くありますが、注目を浴びるような個々の症例や印象に左右されず、行われる検査・医療的処置の有益性・危険性などについて厳密に考えることが大切ですね。

このようなインシデンタローマの大規模な研究の積み重ねによって、よりしっかりとした指針が出来上がっていくことを期待しましょう。

BMJ. 2018 Jun 18;361:k2387.