毎日の入浴が高齢者の健康を維持?

毎日の入浴が高齢者の健康を維持?

65歳以上で長期の介護を受けていない高齢者を対象として、1週間に7回以上入浴する群と2回以下しか入浴しない群で比較すると、7回以上の入浴群のほうが要介護認定となるリスクが3割減ったという結果となりました。

これまでも入浴が生活機能低下を防いでくれるといった報告もちらほらあったようですが、研究として対象人数が少なく、統計学的にもやや信憑性が欠けるものであったようですが、今回のものは前向き研究といって統計学的には信頼性も高く、対象人数も3万人を超えている研究となっております。

週7回以上の入浴群の場合は、週2回以下の群に比べて3割程度要介護認定リスクが低いという結果になったようです。

日本は過重労働でもあり、食事も塩分が多く、やや健康と離れた面もあると思いますが、世界一の長寿大国となっているのはなぜなのでしょうか。入浴が日本人特有の文化でもあり、過去にフィンランドでサウナ浴頻度が高いほど死亡率が低いという報告もあることからその関連性に興味が示されました。今回の研究では年齢、性別、所得など(これらを交絡因子といいます)を補正してもなお有意に要介護リスクが低下しているという結果になっています。 


一方我々のように臨床現場でよく経験するものとしては、「浴室での転倒」があります。例えば超高齢者一人で入浴するというのもある意味非常に危険行為でもあります。実際、現在は高齢化の影響もあり、在宅での介護によってご家族が疲弊してしまっている現状も医療現場ではしばしば見られることです。医師・看護師・ケアマネージャー・薬剤師・コメディカルの方々など密な連携をとって在宅医療ができるようになってきているのも事実です。最近は点滴だけでなく、ドレーン(管)の管理なども在宅でできるようになってきていますし、私の病院でも、やや医療者向けな器具の管理もご家族交えて教育し、訓練していくことで自宅退院を目指せるようなサポートもしています。すべてをご家族でやりきる必要はまったくなく、こういった医療資源を使うことで御本人が一番幸せな結果になるのだろうと思います。 その1例として今回の記事を書きました。入浴しないと死んでしまうわけでないですが、毎日入浴することで介護リスクが減るのであれば、御本人にとっても非常にいいことです。しかし家族だけではまかないきれなかったりするときもありますので、昨今は充実してきている医療資源を利用するなどして本人、家族、医師、看護師、病院 などなどを円滑に連携させていくのがこれからの高齢者医療に重要でしょう。

Journal of Epidemiology 2018, Bathing Frequency and Onset of Functional Disability Among Japanese Older Adults: A Prospective 3-Year Cohort Study From the JAGES