爪の写真を撮って貧血を判定

爪の写真を撮って貧血を判定

もう貧血検査のための採血はいらないかも?

貧血の患者は世界に20億人以上いると言われています。
貧血というと、健康診断やクリニックの採血で指摘されるイメージがありますが、「スマホで爪の写真をとるだけ」で貧血の診断が可能であったという論文が発表されていたのでご紹介します。

撮影に使用したのはiPhone5s、フラッシュありとフラッシュなしの両方で検討。 爪の変形やマニキュア使用の有無、薬剤による変色などがないことを確認した、貧血患者265人と貧血ではない72人を対象に研究を行っています。合計337人のうち、ランダムに選んだ237人のデータを用いて、画像とヘモグロビン濃度の関係性を算出し、残り100人のデータを用いて、そのアルゴリズムの妥当性を検証しました。 その結果、WHOが定めている貧血の基準(ヘモグロビン濃度12.5g/dL未満が貧血)を用いると、感度97%で検出が可能でした。また、施設によって定められているヘモグロビン濃度11.0g/dL未満を貧血と定義すると、感度92%、特異度76%という結果でありました。
※貧血の基準は施設によって異なる場合があります。

カメラのフラッシュは使用したほうが精度が上がり、一方で、患者の皮膚の色などでは影響をほとんど受けないことがわかりました。また使用したのはiPhone5sですが、他のスマートフォンを使用しても機種による影響を受けにくいということです。

このように、採血することなく簡単に自分自身で測定できるというのは、特に長期間貧血のコントロールを行う必要がある患者にとって重要です。この研究では、サラセミアという(日本では非常に稀ですが)慢性的に貧血を引き起こす患者さんのモニタリングとしても使用しており、有用性が述べられています。

すごいのは精度の良さ。±2.4g/dLという精度で血中のヘモグロビン濃度を推定でき、さらに個人向けに調整した場合は±0.92g/dLまで精度を上げることができたということでした。

必要なのはアプリをダウンロードするだけで、針を刺すこともなく誰でも行えるというのは、20億人も患者がいる領域では非常に画期的なことですね。
人工知能という言葉が流行っていますが、このように人間の眼ではとてもわからないような画像やデータから高い精度で診断等へ結びつけることができる機械の威力は凄いです。今後もこのような研究が増えてくるのではないか思います。

Nat Commun. 2018 Dec 4;9(1):4924.