心臓が悪くてもお酒を飲むべき!?

心臓が悪くてもお酒を飲むべき!?

クリニック受診したら「飲酒は絶対やめなさい」って言われたって? それほんとに正しいの?

よく言われますよね。外来受診された最後とかに、

患者 「先生、お酒ってやめたほうがいいですか・・?」 
医師 「お酒はだめです。病気なんですからやめましょうね。」

でも、これってどれくらい本当? 

たまにお酒を飲む程度であれば、飲酒は必ずしも健康に有害というわけではありません。では、もう健康な状態ではなく、すでに心臓を悪くしてしまっているような場合はどうでしょうか。流石に病気があるのであれば、禁酒するのが当然でしょうか。そしてもし飲酒をしていて病気が悪くなったら、それは「お酒を飲んだから」なのでしょうか。 

今回紹介する論文では、心臓のポンプとしての機能が低下し、十分に血液を全身の臓器へ送り出せなくなってしまった「心不全」の患者において、飲酒が及ぼす影響が調査されました。

飲酒量に基づいてグループ分けを行い、診断されてからどれくらいの期間生存できたかを調べると、飲酒歴が全くない患者よりも、週に7杯以下の飲酒を行っている患者の方が、1年ほど生存している期間が長かったことがわかりました。
(※ちなみにお酒一杯とは、ビール360mL, ワイン180mL程度 のことを指します。)

もちろん飲酒の他にも、年齢、性別、喫煙歴など様々な患者背景が生存期間に影響を与えると想定されます。そのような飲酒以外の要素の存在によって、見かけ上、飲酒が生存期間を伸ばしているように見えているだけ可能性もありますが、そのような患者背景を統計学的に考慮しても、適度の飲酒が患者の生存期間に与える影響は有意であるということでした。

このように、今回発表された研究内容を踏まえると、適度な飲酒であれば、たとえ心不全の状態であっても、むしろ飲まないよりも良い影響をもたらす可能性があるということになります。「病気になったから禁酒しなきゃ」は、ある意味間違っているのかもしれません。

ただ、もちろん多すぎる飲酒は体に悪影響です。飲めば飲むほどよいというわけではもちろんありません。過剰飲酒は絶対にだめ。膵炎や肝障害を引き起こしたり、依存症になってしまったりなど人体にとって有害な影響をもたらす可能性がありますし、残念ながら過剰飲酒で命を落としてしまう方もいます。

「週に7杯以下の飲酒」という目安はわかったものの、もっと具体的にどの程度の飲酒が有効なのか、解析していく必要があります。また飲酒が有効となるような患者は、臨床的にどのような特徴を持っているのかなど、今後もさらなる研究が必要となってくるでしょう。 

JAMA Netw Open. 2018 Dec 7;1(8):e186383.