太ってても痩せてても、薬って同じ量でいいの?

太ってても痩せてても、薬って同じ量でいいの?

あなたが飲んでるアスピリン、本当に効いてる?

体格って本当に人によってそれぞれ。 ひとくくりに成人と言っても、細身で40-50kgの方もいれば、相撲の力士さんのようにときには200kg近い方もいらっしゃいます。 さて、今日はそんな”体格差”と”薬の量”についてのお話です。

小児科では体重によって薬の量が調節されることがほとんどですが、大人になると「成人量」として内服量は規定されていることが多いです。でも、これだけ人によって体格差があるのが現実であって…

体が大きい人と小柄な人とで、同じ薬の量でいいわけ??

このテーマについて、「血液をサラサラにするおくすり」として有名な”アスピリン”を対象に、大規模な研究が行われました。 心筋梗塞などに対する予防目的にアスピリンを内服していた患者さんのデータを解析すると、アスピリンによる予防は体重が70kg未満の人には有効でしたが、70kg以上の人では利益が得られにくいことが報告されました。また、体重を10kg刻みで分類してリスクを比較したところ、予防効果自体が体重の増加と共に小さくなってしまう傾向があることがわかりました。

つまり、少なくともアスピリンという薬剤については

体のサイズに合わせて用量を調節するのがより良い!

ということになります。

とはいえ、それぞれの体のサイズに対してどれくらいの用量が一番良いの? という点についてはさらなる研究が必要になるでしょう。

実際、成人であっても体重などの体格に応じて投与量を調節している薬も多く存在します。特に抗がん剤などは慎重に扱う必要があって、体格の小さい人に対して過剰の抗がん剤が投与されてしまうことによって、重い副作用が生じてしまう可能性があります。また逆に、体格の大きな人に対して、十分な効果をもたらすだけの抗がん剤が投与されなかった場合、腫瘍を思うようにコントロールすることができず、命に関わることもありえます。そこで、抗がん剤を投与する場合、ほとんどのケースで患者さんの体重や体表面積をもとにして投与する薬の量を調節しています。

一方で、世の中の多くの薬は、体格に応じた投与量が定められているわけではなく、「成人量」として一律で処方用量が定められていることが多いです。もちろん、治療効果をみてその後の薬剤量を調節していくケースも薬剤によってはありますが。

すべての薬剤に対して、最も効果のある量を体格に応じて決めていくのはとても時間がかかることです。ひとつひとつの薬剤に対して、適切な投与量を検討する研究を行う必要があります。とはいえ、将来的には患者さんの体格毎に、処方する薬剤の用量を調節する時代がくるのかもしれませんね。

Lancet. 2018 Aug 4;392(10145):387-399.